第16話_『# = きん』のハナシ_後編

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3ダースからのお知らせ

 

はい。
紙のハナシはぼちぼちネタ切れです。
今回は前回のメルマガの補足の補足っていう感じの内容です。

今後…おそらく紙から離れ、別な画材のハナシに移行する予定です。
メルマガに書いて欲しい画材などありましたら、ご遠慮なくメールでリクエストしてください。

あと、メルマガを今後はもう送らないで欲しい…という先生も、遠慮なくそのようにおっしゃってください。
メルマガ送信のメンバーから解除いたしますので。

先日も

美術教員
『文が長過ぎて苦痛。メルマガに興味が無い』

とおっしゃる先生がいらっしゃいましたので円満にメンバー解除いたしました。
そりゃあ超長文ですからねぇ。興味が無い先生にとっては苦痛でしょう。

みなさんも、無理に読むべきものではありませんから…もしご迷惑でしたらメンバー解除いたしますので、おっしゃってくださいね。

3ダース
興味が有る方だけに読んでいただきたいと思っております。

※3ダースさん了承で私個人が面白いと思ったので作成したサイトです。
3ダースさんを理解している方のみの限定メルマガなのでご了承下さい。

 

『 lb 』⇒『 # 』への変化の様子

 

さて、またまた『 # 』のハナシ。

このマークは、日本語では “井桁 (いげた) 記号” と呼びます。ただ、そう呼んでいる人にいまだに会ったことはありません。

海外ではナンバーサインとか、ハッシュ、オクトソープ、スクエアなどと呼ばれているようです。
特に…イギリスではハッシュが、アメリカではオクトソープが浸透しているようです。

しかし、電話器に付いてる “ # ボタン” は『パウンドキー』と呼ぶのが米英では圧倒的…とのこと。

日本人は “ # ” を『シャープ』って呼びますよね。
よく、電話の自動応答システムの音声で『最後にシャープを押してください』っていうセリフを聞いたことありますよね?

それと同様のが、米英だと…『最後にパウンドキーを押してください』って言うらしいんですよ。
(もちろん英語で)

3ダース
この “パウンド” は『ポンド』のこと。でも、英通貨のポンド (£) ではなく…重さの方のポンド (lb) ですね。

ネットを検索すると、電話器のパウンドキーの『 # 』を “英国通貨のポンドの意味” って記事に書いてるヒトもいました。
堂々と『£』の記号の画像も使って…。
その記事のコメント欄に親切な人が…『通貨のポンドじゃなく重さのポンドのことですよ』って優しく書いてくれてるのに、記事の訂正もせず削除もせず…。
どうやらこの記事の著者は…典型的なバカな子のようですね。

3ダース
ネット上にはこういう連中が溢れております。

『 lb 』⇒『 # 』への変化の様子を説明してる画像を、そんなネット上で見つけましたので添付しておきます。

1枚目の画像の、左の赤い活字体の記号はアルファベット小文字の『エル・ビー』に、単位記号であることを強調するため…横線を1本引いたもの。
この… “単位記号に線を1本とか2本書き加える” ってのは『£』やEU通貨の『€』や米国の『$』『¢』、日本の『¥』の “線” と同じものです。

画像の真ん中は、その記号を手書きしたもの。
いわゆる筆記体ですから…縦線が斜めになり、横線は水平です。

これを省略して記号化すると、右の『 # 』になる…っていう画像のようです。
ちょっと “真ん中” と “右” との間の落差が大きいみたいですけどね。

なので、もう少し右の記号のイメージに “寄せた” 手書き文字を書いて撮影し、2枚目の画像に載せてみました。
bの最後の跳ねるところが “下の横線” に変わって行きそうなイメージ、出てますでしょ?

3ダース
いかがでしょうか?
『 lb 』=『 # 』ということに、少しはご納得いただけたでしょうか?

ちなみに、音楽記号のシャープ ( ♯ ) は五線と被らないよう横線は傾けて書き、縦線は垂直です。

『 # 』の方は、筆記体がもとになって生まれた記号ですから…縦線が斜めで横線は水平なんですね。

 

前回のメルマガの送信は少し遅い時間になってしまいましたが、その日のうちに…ある読者の先生から感想メールをいただきました。

美術教員
『 # が重さのポンドの記号だったなんて!
# はサンドペーパーにも番手として使われていますが、何らかの関連が?』

というようなご内容でした。

3ダース
素晴らしい目の付け所!
(SHARPの人か?ってくらい)
さすが美術の先生ですねぇ!

すごく良いところに気付かれました!

 

そう。実は美術の教材としてもよく使われるサンドペーパーの『 # 』に関しても補足編で書こう書こうと思って色々準備していたのに、なぜか永六輔さんのことを夢中になって調べ始めてしまい、サンドペーパーのことはすっかり書き忘れてしまっていたんです。

ってことで今回のメルマガも『 # 』になったってワケです。

 

永六輔さんのおかげで

 

その先生は永六輔さんの話題にも触れ、『尺貫法が違法で逮捕者まで出ていたとは驚きました! でも、建築関係は今もほぼ全て尺寸法ですよね?』と。

まあ、そう思われがちですが…建築に関しては、施主 (建築主…発注者) と工務店 (施工主…受注者) との間で取り交わされる書類や図面はすべてメートル法で書かれているんです。

たとえ尺や寸を基準にした間取りや部材であっても、表記の単位が㎜で書かれてさえいればメートル法の書類と見なされ、『合法』なのです。
303㎜とか、1,818㎜とか…。

しかし昭和34年にメートル法に完全移行した直後は、その図面の数値の書き換えを失念してしまい…逮捕されたり事情聴取された大工さんや職人さんが何人もいたんだとか。
まぁ、見せしめのための逮捕ですよね。

大工さんは自分達が見る図面は尺の寸法で書いていました。で、提出用にはメートル法の数値で書き換えて…つまり同じ図面で数値の違うものを2種類用意していたんですが、すべての大工さんがそのように準備出来たわけではありません。
図面を作るだけで倍の時間が必要になるわけだし…。
単位の変換の計算に忙殺され、図面の作成が間に合わなければ…『禁止された尺貫法を使って仕事をした』という罪で警察は逮捕し…勾留し、仕事を出来なくさせてしまう…。
警察って、そういう組織。正義の味方なんかではありませんからね。

3ダース
本当に永六輔さんがデモをしてくれなかったら、その後に数千人の逮捕者が出たことでしょう。
※東京新聞2020/05/20参考

尺貫法にもとづく定規の使用すらも…定規の販売すらも、当時は禁止されていましたからね。

永六輔さんのおかげで、現在は尺貫法にもとづく定規も “合法の範囲で” 売られています。
『尺相当目盛り付き長さ計』っていう定規です。
“33分の1m” っていうトリッキーな目盛りが付いていて、まさにそれは『1寸』である30.303…㎜を表す目盛りなんですけど、あくまでもその目盛りは『33分の1メートル』という、メートル法表示だから合法…と。
3ダースも子供の頃、自宅にそういう定規が有りましたよ。
『この、端っこに書いてある “1/33m” って何だ?』って疑問に思ってました。

 

サンドペーパーの『 # 』

 

さて、サンドペーパーのハナシ。

サンドペーパーの『 # 』は、パウンド (ポンド) 記号でもナンバー記号でもハッシュでもオクトソープでもスクエアでもありません。

3ダース
サンドペーパーに関しては、『 # 』のことを『メッシュ』と読みます!

メッシュ、すなわち “網目” ですね。

これはWikipediaにも出てますが『金網の目の細かさを表す単位。1インチあたりの目の数を表す』というのが最も的を射た答えになりそうですね。

これは、『その金網1インチ (すなわち25.4㎜) の幅に何本のワイヤーが通っているか』…と言い換えることもできます。

 

サンドペーパーは “砥粒 (とりゅう) ” と呼ばれる研磨粒子を紙に貼り付けた物。

その砥粒の大きさを選別するためにさまざまなフルイ (金網) を使ってふるい分けるんです。

“ # (メッシュ) ” とは、そのフルイの網の1インチあたりの “目の数” …あるいは “ワイヤーの本数” を表す数字で、『その網を通り抜けられた粒子の大きさも、その数字を使って表す』というのでだいたい正解でしょう。

3ダース
しかし、耐水ペーパーのような…ものすごく細かい砥粒も、フルイを使って選り分けてるのかしら?

1インチに2,000本のワイヤーが通ったフルイだとすると、そのワイヤーの細さってスゴくない?
しかも、ちゃんと目 (隙間) が有るんですよ!
そんなフルイ、存在するのかなぁ…?

 

ある人が、『ワイヤーの太さをゼロには出来ないのだから…1インチあたりの目の数とかワイヤーの本数で表示していたのでは、細かい砥粒になればおのずと表示に限界が来る。荒い砥粒の表示方法とは別な考え方に切り替えないと、細かい砥粒は表示できない』という見解を教えてくれました。

3ダース
あなた、アタマ良いっすねぇ。

 

実際にJISの規格『R6010』を調べてみますと、220番までの比較的荒目の砥粒の選別にはフルイを使うように規定されているのですが、240番より細かい砥粒の選別はフルイを使うのではなく『沈降試験法』や『電気抵抗試験法』という方法を用いるんだとか。

だから、あの “ # ” の後の数字は、220番までは『フルイの網の1インチ幅あたりの目の数 (あるいはワイヤーの本数) で、そのフルイを通り抜けられた砥粒の細かさを表している』…で正解。
しかし240番より細かいものは、『JISのR6010の表を参照せよ』というのが唯一の正解になります。

3ダース
悪しからず!

 

さらに、この “ # (メッシュ) ” は…シルクスクリーンの『スクリーン生地』にも共通する単位なんですよ。

“100メッシュ” とか “150メッシュ” って、よく言いますよね?
(教材カタログには『 # 』の単位記号は使ってませんが…)

これも1インチ (25.4㎜) の幅にどれだけの糸が通っているか。
つまり、25.4㎜の幅に糸が100本通ってるのが100メッシュだし、150本通ってるなら150メッシュ。

100本の糸が通ってるってことは…25.4㎜の幅に100個の目 (孔) があいてるってこと。

 

『絹』は熱に強いのでアイロンで原紙を貼り付ける技法向き。
『テトロン』は繊維が細く…太さが均一なので、目が細かい生地が織れるけど、石油などから作る合成繊維のため…熱には弱いです。

 

ちなみに “テトロン” とは…みなさんご存知の『ポリエステル』のことです。

3ダース
この『テトロン』って名前、あまり馴染みが無いですよね?

たぶん、生地の状態ではけっこうテトロンって呼ぶんでしょうけど…服などに縫製されて内側のタグに書かれるときはポリエステル…って書かれるんじゃないかしら?

アクリル画用のキャンバス布で、よく我々が『綿ポリ (めんぽり) 』って呼んでるキャンバス布があるんですが、それの商品記号が『TCC』なんですよ。

メーカーにこのアルファベットの意味を聞いたら『 “テトロン” + “コットン” の “キャンバス” だから T-C-C 』 とのこと。
木綿がコットンってことはわかりますが、なぜポリエステルがテトロン?…って思って調べたら、“テイジン” と “東レ” が販売してるポリエステルの名称だとか。

この2社…前にも話題に出しましたが、パルプを使って戦前からレーヨンを作ってた会社ですよね。
イギリスのメーカーが開発したポリエステルを戦後にライセンス生産するにあたり、2社で共同のブランドを作ったんだとか。
テイジンの “テ” と東レの “ト” 。それに合成繊維の代表格であるナイロンの “ロン” で『テトロン』だとか… 

3ダース
センス良いんだか悪いんだか…。

 

みなさんも、『 # 』のマークを見かけたら、それは何て読むのか…何を意味するのか…と考えてみるのも面白いかもしれませんね。

わからなかったら3ダースにメールください。可能な限り調べますので(笑)

【第16回終わり】

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