豊富な画材の知識を持つ人・K氏
画材業界内に、3ダースがとても尊敬している先輩格の人がいます。
仮にK氏…としておきましょうか。
豊富な画材の知識を持つ人で、3ダースの一番の相談相手でもあります。
ちなみに…業界内と言いましたが、もちろん小売業の人ではありません。
しかし、画家や美術教員との直接の付き合いもあり、大サイズのキャンバス張りの経験も有る人。
そして、業界の裏バナシやメーカーの歴史などにもやたらと詳しい…
あ、そういえばこのメルマガにも一度登場させてます。その時には名前や立場は明かさなかったけど…。
第16回の【またまた『#』のハナシ】で、紙ヤスリなどの “砥粒” の大きさを表す『# = メッシュ』の説明の中で、『荒い砥粒と細かい砥粒の表示方法は異なるはずだ』との見解を示してくれたのがK氏です。
(ただ、3ダースがこのハナシをK氏から聞いたのは10年以上前だったと思います。メルマガのために『#』の事を調べていたら『JIS規格R6010』という項目に辿り着き、K氏が過去に言っていたことが正しかったことが証明され、改めて彼の知識の深さにビックリしました)
そんなK氏と3ダースが、もう17~8年前に話したことを思い出しながら書いてみます。
もちろん一言一句正確に覚えているはずもなく、大部分は創作によって記憶を穴埋めしておりますが、みなさんにも参考になることがあるかもしれませんのでご紹介します。
なお、対話の中に登場する『社長』とは、ウチの店の先代の社長。2003年に亡くなりました。
あ、3ダースの父ではありませんよ。3ダースの父親の職業は農業で、2002年に他界しております。
K氏との対話…のハナシ
※ この『も!』の意味、最初はわかりませんでした。どうやら3ダースが『タイヤ “は” 』と言ったのを『消耗品はタイヤだけじゃないぞ、他にもあるだろ』ってK氏が言ってるように思ってしまいました。
とまあ、なかなか『製造物責任』とか『良品・不良品』とか『企業倫理』とかに厳しいK氏でしたが、おっしゃることはどれもごもっともなハナシ…。 『ベイスギ木枠とはいえ、無限に使える訳ではない』
いやぁ、さすが。 その後…当店では独自ルールとして、画家の先生もアマチュア画家の人も…木枠の使い回しは2回に限るようにしました。 そして、それを受け入れてくれる方には、2回目を張る前に3ダースがサービスでメンテナンスをするようにしています。 今回のハナシは、3ダースが作り上げる『商品』としてのキャンバスの手張りのこと…。
K氏も言ってました。 絵を描く本人が自分でキャンバスを張るんだったら、そりゃ自己責任で何回でも好きなだけ張ればいいんですよ。 ただ、木枠の持ち主は学校の『美術部』。 メンテナンスもしないクセに手張りだけをするんだとしたら、そりゃおかしいです! じゃあ最後にもうひとつK氏のハナシですが、K氏…クルマのエンジンを焼き付けて廃車にしたことがあるそうな。 あの人、自家用車はマメに手入れをして…オイルも高いのとか使ってたそうなんですが、仕事に使ってた車の手入れはけっこうサボってたみたい。オイル交換も放ったらかしにしてたら、ある日突然エンジンが止まったと…。 故障の原因は…オイルの劣化と量の不足による潤滑不足で、シリンダー内壁にピストンが癒着して止まっちゃったそうな。 っておっしゃってました。 メンテナンスとは…『整備・維持・保全・保守・点検・手入れ・修理・修繕・交換』などの言葉に言い換える事ができると思います。 木枠の修理・修繕どころか…普段の点検すらしていない美術部は、キャンバスの手張りなんかする資格無しですよ。
K氏の使ってた車は、実際には廃車でなく、ディーラーのサービスマンがエンジンをバラして修理し、中古車として販売したそうな。 後日にそれをディーラーから聞いたK氏は と、振り返ってらっしゃいました。 K氏、考察が深い!
【第26回終わり】
※ この画家が、現在130にサイズダウンして同じ硬い布を指定して来ます。
『木枠のエッジ部分のへこみやすり減りは防げないし、修復できない』
『画材店が “商品” として張る場合は、ベイスギ木枠の使い回しは2回まで』
『2回以上の使い回しを希望するなら、木枠の持ち主本人が責任を持ってメンテナンスをすべき』
『そして、画材店店主はお客さんの教育にも責任を持つべき』
今思い出しても惚れ惚れするお言葉!
K氏、厳しいようですが愛がありますよ。深い愛が!!!!
お客さんに対する愛、画材店に対する愛、画材業界に対する愛。
キャンバスに対する愛、木枠に対する愛、タックスに対する愛。
誰かが怪我をしないように…。
誰かが嫌な思いをしないように…。
画材店が無理なサービスを強要されないように…。
3ダースはその1割くらいは受け継げてるかなぁ。
どうかなぁ?
『もし、3回以上の使い回しをなさりたいなら、最初からご自身で木枠のメンテナンスを…』ってお客さんに申し上げたら、ほとんどのお客さんは『機械製の安い張りキャンでいいや』っておっしゃいました。
実際、張りキャンが一番安いんです。手間とか含めて考えたら…。
学校での木枠の使い回しを2回に限れ…なんて言ってるわけではありません。
それに高校生の手張りだったら張る力もそれほど強くないでしょうから、木枠のエッジが傷むことも少ないでしょう。
“美術部という組織” が主体的になって、共用の道具や備品の管理・メンテナンスをする責任があります。
つまり、顧問や部員が動かなければ、何も成し遂げられません。
積極的にメンテナンスなどをしましょうね。クルマのエンジンを焼き付けて廃車にしたハナシ
走ってる途中でエンジンもラジオも完全に止まって、たしかハザードランプは点いたのかな? 惰性で進むクルマを左に寄せて停めたみたい。
で、ディーラーの営業マンに電話したら『JAFを呼べ』と…。JAFに電話したら『レッカー車が到着する前に警察に電話して、安全な場所まで車を押してもらえ』って。で、110番にかけてパトカー呼んで、複数の警察官に車を押してもらったとか…。
どこかの橋を渡る手前だったらしく、交通に大きな迷惑をかけることは無かったそうな…。
車はやむなく買い替え…。