手作り仮縁についてのハナシ
ホームセンター等で購入した “板” を…釘やネジを使ってキャンバスの側面に直接くっつけるのが、『手作り仮縁』です。

高美展の会場では、工夫の行き届いた手作り仮縁で作品を出品して来る学校も多いですね。
作品の持つメッセージを仮縁にも語らせる…。そんな作品との出会いにはワクワクします。
今後…手作り仮縁で高美展に出品しようと考えている学校さんに、お願いがあります。

最低限のマナーとして、板にはヤスリがけをして…カドをなめらかにしておいてください。塗装をしていただくのも有効な方法です。
理想を言えば、ヤスリをかけた上で塗装をしていだくのがベストです。
これは見映えうんぬんということではまったくなく、トゲ・ササクレの防止や割れの予防のためなのです。
ですので、塗装は透明ニスでも構いません。
まるでヤマアラシ

第32話_画像
添付画像は、ある学校が『全日本学生美術展』に出品するために手作りした仮縁ですが、板に斜めに入っていた木目のスジに沿って…ササクレというか、裂けてめくれて…まるでヤマアラシという動物が怒って体の針毛を逆立てている場面のように、立ち上がっています。
この巨大なササクレ、他の辺にも多数出現していてとても素手では持てない状態でしたので、搬入前にニッパーでササクレを切り落とさせていただきました。
おそらく出品校で仮縁の取り付け作業をした時点では、これほどのめくれではなかったんだろうと推察します。
ウチの店に運んで来て、上野の美術館に運ぶまでの2日間くらいでメキメキとササクレが立ち上がったように記憶しております。
ですので、この画像のような…極端に安くて極端に質の悪い木材は使わなわないようにしてください。
出品校が費用と手間ヒマをケチったために、運ぶ人や陳列を任された人が怪我をするんです。
正直、やってらんねぇです。

過去最強の破壊力でした!
なお、この学校は高美展にはちゃんと塗装を施した手作り仮縁を付けて出品してくれてます。この時はよっぽど時間がなかったのでしょう。そう思いたいです。
しかし、作品制作に追われ…手作り仮縁の加工 (ヤスリがけ・塗装) 等に時間が割けないような学校は、やっつけ仕事で手作り仮縁を付けるのではなく…初めから素直に市販の金属製仮縁をお使いくださいよ。
当店で組み立てて納品しているCDシリーズを事前にご注文くだされば、あとはほぼすべての時間を作品制作に集中できるじゃあないですか!
作品制作中には仮縁のことなんかに意識も向かず、締切りギリギリになって慌ててホームセンターに板を買いに行くような学校は、手作り仮縁なんかにチャレンジしないでください。

3ダースとしては、手作り仮縁自体は大歓迎です。
しっかりヤスリがけをして塗装を施して、ステキな仮縁を作っていただきたい。
ですので、手作り仮縁での出品を考えてらっしゃる学校さんは…板の材質と手間ヒマは、絶対にケチらないでください。
あと、手作り仮縁で気を付けていただきたい大事なこと…。

ウチでの “積み込み拒否” も有り得ますよ。
もう…自分達で好きなように自己搬入してください。手持ち搬入するか、赤帽さんをチャーターするなりして…
“ツライチ” とは、作品の画面と仮縁のオモテ面に段差がないこと。
ちなみに、普通の常識で考えれば…仮縁は画面よりも1㎝程度前に出すのが当たり前!
仮縁が画面より前に有ることで、画面が保護されるワケですから…。
つまり、ツライチってことは額を付けてないのと同じようなもの。
常識ハズレな行為ってことです。
社会的に容認されない行為ってことです。
そんなことをする学校は、もう…自分達で運んでください。
自分達で運んでくれるなら、3ダースは文句言いません。
仮縁がツライチになった作品を、自分達で運ぶのではなく “業者に運ばせる” ってことは、常識ハズレを超えて…もはや犯罪行為に近いものを感じますね。
例えて言うなら、女性専用車両にオッサンが下半身丸出しで乗って来るようなもの。
このオッサン、周りの乗客に袋叩きにされて…次の駅で強制降車させられても文句言えないですよね。
ツライチで運搬を依頼するって、それくらい非常識で犯罪的なこと。
考えてもみてください。

他の学校の作品はみんなルールを守って出品してるってのに…。
決められたルールを守って行儀よく乗車している通勤通学客の中に、一人キ○ガイなオッサンが乗り込んで来て手を伸ばし…触った相手を次々と汚していく。
ほら、3ダースの例えバナシは決して突飛じゃないでしょ?
これは犯罪です!
痴漢行為であり暴力でもあります。テロ行為と言ってもいいくらいですよ。
つまりツライチの仮縁ってのは、画材業者とかに運んでもらう立場のヒトは絶対にやっちゃダメなことなんです。
マナー以前の問題。
顧問のモラルが問われます。
赤帽か顧問の自家用車で、他の作品と接触しないように運んでくださいよ。
みんなと一緒に画材業者に運んでもらおうだなんて、虫が良過ぎです。
下半身丸出しで通勤したい…という性癖を持つオッサンも、みんなが乗る公共の電車になんか乗って来ないでください!
周りから絶対見えないような自家用車の中でなら、いくら変な格好をしてもよいでしょう…たぶん。
2022年の高美展でも、ウチで運搬した学校の中に手作り仮縁の取り付け方がヘタ過ぎて、ほぼツライチな仮縁が有りました。
4辺のうちの1辺が完全に画面と同じ高さでしたよ。
その学校での積み込みの際、3ダースがそれに気付いて数分間頭を抱えて事務室横の廊下で悶えていた時、たまたま顧問の先生が通りかかりました。
(ひょっとしたら事務員さんが先生を呼んだのかも…。“作品を預かりに来たはずの画材業者が、積み込みもしないで作品の前で体をクネクネさせて踊ってる” …とでも言って)
『あぁ、先生! これじゃ積めませんよ。額が画面より前に出てません!!
それに画面の絵具の盛り上げが尋常じゃなく、ツノが立ってるじゃないですか。他の作品に当たりますよ!
絵具を盛り上げるんなら額もそれだけ前に出してくれないと!!!!』
『あ、ホントだ。確かに画面と一緒な部分があるね。ごめんごめん、そんなつもりじゃなかったんだよ。ちょっと生徒が取り付ける時に曲がっちゃったのかなぁ。でも絵具はちゃあんと乾いてるから』
まあ、この超ベテランの顧問の先生は3ダースメルマガの読者ではありませんが、こういうの…ハッキリ言って迷惑なんです。
なんのために額装するのかわかってらっしゃらない
“自身の作品の画面を保護し、他者の作品を汚さないため” でしょ?
確かにその作品は完全に乾いていました。ですから、他校の作品を汚すことはないでしょう。
しかし、ツノが立ってる画面の保護は出来ていませんよね?
運搬するということは、振動や摩擦を避けることはできません。つまりこの作品を運搬するということは、運搬という行為によってこの作品の命たる “絵具の盛り上がり” を損なってしまう事になるかもしれないんです。
『この作品だけ “自己搬入” 出来ませんか? 作品を傷めずに運ぶのは難しいです』
『いや、仮に絵具の盛り上げが潰れても仕方ないから、なんとか一緒に運んでください』
超ベテランの先生にこうまで言われたら断ることはできません。でも、完全に乾いていて、部分的にツライチだったのなら、あらかじめプチプチでくるんでおいてほしかった。
っていうか、そもそも…絵具の盛り上がりの分よりも前に出るように、考えながら仮縁を付けてほしかった。
結局この作品をトラックに積み込む際には、ウチでプチプチを用意し…画面の保護をしました。

今後…もし “ツライチ” で “未乾燥” の作品を出品してきたら、積み込みません!
絶対積み込みませんよ!
ご自分達で自己搬入してください。
面倒見きれません。
一体なんのためにツライチにするの?
バカなの?
バカとしか思えない。
バカなんでしょう。
女性専用車両に下半身丸出しで乗っちゃうオッサンくらい、バカです。
そんなオッサンを…みんなが乗る公共の電車なんかに乗らせちゃダメなように、仮縁がツライチの作品は…みんなが作品を載せるトラックに載せちゃダメなんです。
スキあらば、他の作品を汚しまくりますから。
他校の作品を汚さないよう、顧問の自家用車で運んでください。顧問の自家用車の内部ならいくら汚してもいいですから。
過去に、ご自分の作品の仮縁を…やはり手作り仮縁で “ツライチ” にして付けている先生がいらっしゃいました。
その先生の個展の搬入出を頼まれた時、正直積みづらかったので聞いてみました。
なぜツライチにするか…というと、上の仮縁の板が絵の表面より出っ張っていると…絵の上部に影が出来る。
それがイヤなんだとか…。
へぇ~なるほどねぇ~
積みづれぇなぁ
しかし、その先生の良いところは未乾燥の作品などは1枚も無く、すべての作品が完全に乾燥し…堅牢な画面だったこと。
それと、高美展などで自校の美術部員の作品には同じやり方を適用しなかったこと。
『仮縁って1㎝くらい画面より前に出すのが普通ですよね』って、ご自分でも笑いながらおっしゃってましたからね。
(つまり、“自分は普通じゃない。自分は変わってる” っていう自覚をお持ちでした)
そう、これならいいんです。
顧問の先生が、自身の個展に出品する作品なら…どんな非常識な額装でも良いでしょう。個展のための運搬なら、他の人の作品と混載させることはなく…貸し切りで運搬しますからね。
しかし、混載が当たり前である高美展に出品する生徒さんの作品には、ちゃんとマナーを守って画面より1㎝前になるように仮縁を付ける。
これ、基本のキ。
顧問にとっては、社会人として当然心得ておくべき常識。
だいたい、何のために仮縁を画面より前に出すのか?…その意味を知らないクセに偉そうにしている教員が多過ぎます。
自身の作品の表面を守るためでしょ?
そして、他者の作品を汚さないためでしょ?
(先程話題に出した超ベテランの先生は、ちっとも偉そうじゃなかったですよ。腰も低く、穏やかな先生です)
高美展に出品する作品の運搬を画材業者に依頼するってことは、他校の作品と混載することになるわけです。当たり前です。
1校だけのチャーターなわけ、ないですからね。
トラックの荷室の壁に作品を立て掛ける際、当然十数枚の作品を重ね…ベルトで縛って固定するわけです。
っていうことは、乾いてないツライチ作品なんか積む場所はありませんよ。どこにも!
そう、どっこにも積めないんですよ。
濡れた画面が必ず誰かの作品に接しちゃうんですから。

なにがツライチですか!
カッコつけてるつもりかもしれませんが、ただの常識知らずです!
バカです!
もう、自分達の責任で勝手に運んでください!!!
このへんで少し落ち着いて…ウチの見解を述べさせていただきます。
ツライチ仮縁を絶対に受け付けないわけではありません。条件を満たしていれば積み込みます。

その条件は… “完全に乾燥している” こと。
そして “プチプチなどで梱包してある” こと。
この両方がクリアー出来ていれば、ツライチでもなんでも積み込みOKです。
実際、そういう状態で毎年運搬を依頼してくる学校さんもあるくらいです。梱包してあれば、大歓迎ですよ
前述の “変人という自覚のある先生” のように、ご自分の作品に仮縁の影が出来ることを嫌うような生徒さんが…もしいらっしゃるのなら、その生徒さんは他の誰よりも早く作品を仕上げ、画面を完全に乾燥させ、ツライチの仮縁を付けた後で…しっかりプチプチで作品を梱包してから運搬を依頼して来ればいいんです。
梱包してあれば、喜んでお運びいたします。
まぁ、油絵作品はだいたいが未乾燥で出品して来ますから、手作り仮縁を採用している学校さんは必ず仮縁を1㎝…画面より前に出るように取り付けてください。

『1㎝』です!
そして『裏面』も、ツライチ禁止ですよ。
裏側は2㎝、木枠の裏面より後ろに仮縁が出るように!
つまり、キャンバスの厚みより “3㎝以上” 余計に幅がある板を…ホームセンター等で選んでください!
オモテ面ばかり気にしていて、裏面がツライチになっちゃっている作品も…過去に何度も見ています。
本当に常識を知らないで教員になっちゃったヒトがいるんですね。
こんなヒトが、みんなが作品を載せるトラックに “非常識な作品” を載せようとするんです。
みなさんはどう思われます?
顧問を袋叩きにして、作品をトラックから下ろしちゃいましょうか?
今後、ウチで運搬依頼を受ける際には…手作り仮縁の場合は表1㎝・裏2㎝…キャンバスの厚みより出していない作品は受け付けません。
しっかり幅のある板を選んでくださいね。
あと、板の厚みも、極端に薄いのは構造上ダメですよ。以前に3㎜程度の薄い板を貼った作品を出して来た学校がありましたが、案の定…画面より出っ張らせた部分が割れた状態で搬出されて来ました。
強度を考えてくださいよ!
手作り仮縁に使う板は、厚さ12㎜以上の物をお使いください。これも常識ですよ。
手作り仮縁の板を固定するのは釘よりも木ネジの方が確実だと思います。
釘だと抜けやすいんですよ。
搬入前に、ウチの方で釘から木ネジに交換したことも、何度もあります。だって、持ち上げただけで簡単に板が取れちゃうんですから…。
これは、部員さんや顧問の先生のDIY知識が無さ過ぎるために起こる事態です。
ご存じですか? 釘は板厚の2.5~3倍の長さが必要なんですよ。
板厚が12㎜なら、釘の長さは30㎜~36㎜必要…ってことです。中学の技術家庭の授業で習ってるハズ。
だいたい…板が取れちゃうような学校が使ってる釘は、長さが全然足りてないんですよ。また、見映えが悪くなるのを恐れてそういう釘をチョイスするのか、極端に細い…虫ピンみたいな釘 (細釘) を使ってくる学校も困り者。
常識だと思うんですけど、釘はある程度の太さがあってこそ効くんですよ。釘が木材の繊維を押しのけながら入り込むから…木材の圧力で抜けにくくなるわけだし、釘の直径が太ければその外周の表面積も増えるわけで…当然摩擦力も増加して抜けにくくなるんです。
まるで針のような極端に細い釘だと、周りからの圧力も摩擦力もほとんどかかりませんよね?
ホームセンターに売ってる極端に細い釘は、必ず接着剤と併用して使う…っていう当たり前の常識を、きっとご存知ないんでしょう。
極端に細い釘は手作り仮縁の固定には向きません!
美術の先生とはいえ、ここまでDIYの知識が無いようだと先が思いやられますな。DIYの知識がゼロなら、手作り仮縁なんか一刻も早くやめましょう!
今後、毎年毎年恥をかくだけですよ。
もう、ケチらずに市販の金属製の仮縁を買ってくださいよ。DIYが苦手な顧問の先生の学校にオススメなのはCDシリーズです!
組まれて届くんだし、作品のはめ込みもメチャメチャ簡単。なんの苦労も要りません。
乱暴に使わなければ8年経っても新品同様です。ご注文お待ちしております。
ハナシを手作り仮縁に戻します
板厚の2.5倍~3倍の長さが必要な『釘』ではなく、『木ネジ』を使うのなら…板厚の2.5倍程度の長さで充分です。
手前の板 (手作り仮縁) の向こう側の木材 (キャンバスの木枠) に15㎜~20㎜入り込める長さが理想とされています。
つまり、板厚が12㎜なら30㎜前後の木ネジを選べば良いのです。
そして、面倒がらずに必ずキリか細いドリルで…板に “下穴” を空けてからネジを締めるようにしましょうね。
板の端の部分に下穴無しでネジを締めようとすると、必ず板が割れます。
これも常識です。
また…釘にせよネジにせよ、金属製の横ビス方式の仮縁の木ネジの数よりも本数を多めに打ちたいものです。
40~50号なら1辺に4本~5本くらいは打つようにしましょう。
こうして見ていくと、手作り仮縁ってメチャメチャ面倒で、色んな知識や常識が必要だ…ってわかるでしょ?
『金属製の仮縁を買うより全然安いや』なんて気軽な気持ちで、締切りギリギリにホームセンターに行くような先生に手作り仮縁の作業の監督なんか、つとまりません。
手作り仮縁に対する考え方を改めていただく必要があるでしょうね。
だいたい手作り仮縁を採用したがる学校は、予算と手間をケチりたいという考えばかりが先行し、板を選ぶ際にも…表1㎝・裏2㎝の原則を無視して極限までキャンバスの厚みに近い幅の板を選び、板厚も…強度を無視して薄い物を選び、ネジ止めの際にも…下穴を空ける手間を嫌って直接ネジを締め込んで結局板を割ってしまうのです。
こういうヒトを『バカ』と呼ぶのですが、埼玉県の美術教員にこんなヒトは居ませんよねぇ?
もしもいらっしゃったなら…ぼちぼち金属製のしっかりした仮縁の購入を検討してください。
少なくとも、このメルマガを読んでらっしゃる先生の中には…上記のようなおバカさんは居ないはず
【第32回終わり】
まぁ、そんな幼稚園児以下の低能な顧問なんかはこの世にいないと思いますが…