画用紙とは?
絵を描くための紙ですね。
絵が描けさえすればどんな紙でも“画用紙”と言えるのかしら?
ルールや決まりはあるのかしら?
とりあえず、画用紙と名乗って売っているものは…
画用紙と呼んで間違い無いんでしょう。
しかし、中には“良くない画用紙”もありますねぇ。
3ダースがオススメしないのは、
画材屋ではなく、文房具屋や100円ショップで売ってるような画用紙の中には、
白過ぎる画用紙がけっこう見られます。
あれはいけませんねぇ。
使ってほしくないです。
『え?白けりゃ白い方がいいじゃん?絵具がはみ出した所はホワイトで修正出来るし。
むしろ変なクリーム色っぽい画用紙だと、修正のホワイトが悪目立ちしちゃうじゃん!』
という声も聞こえて来そうですね。
画用紙にはそれほど白さは求められてないはずです。
ケント紙は『デザイン』『製図』『パース』『レタリング』『色彩構成』『イラストレーション』『コミック』『ポスター制作』『鉛筆デッサン』などの用途に適しています。
使う絵具や筆記具は『アクリルガッシュ』『ポスターカラー』
『カラーインク』『アルコールマーカー』『製図ペン(ミリペン)』、
Gペンや丸ペンなどの『コミックペン』そして『烏口』など。
確かに、ケント紙なら不透明な白の絵具で“修正”するような作業も有り得ますよね。
紙の色が白ければ白いほど、使う人に喜ばれるかもしれません。
でも
基本的に鉛筆で『絵画』を描くための紙ですよね。
『デッサン(素描)』『エスキース(構想画)』『クロッキー(速描)』『スケッチ(写生)』など…。
鉛筆以外でも、木炭やコンテで描くのにも適しています。
当然、絵具で着彩も出来ます。
おそらく、透明水彩絵具が最も画用紙と相性が良いかと思います。
また、絵画用のアクリルカラー(U-35やリキテックスなど)で
しっかり塗り込むのもいいですね。
透明水彩や絵画用アクリルカラー以外だとすると…
色鉛筆の乗りも良いですし、
クレヨン、クレパス(オイルパステル)、パステルなども…
画用紙に最適な画材です。
ただ、鉛筆・木炭・コンテ・パステルを使ったら…
描きっぱなしにしないでフィキサチーフを使って定着させましょう。
クレパスは油絵風の作品が描ける…とても魅力のある画材ですが、
描き上がった作品はそのままでは固まりません。
表面を擦らないように気を付けましょう(専用のコート材もあります)。
もちろん、ポスターカラーやアクリルガッシュのような“デザイン用の絵具”も画用紙に使えますが…
薄めて水彩画風に描くとか、逆にゴテゴテ厚塗りするとか…
つまり絵画的表現で描く方が似合うはずです。
ポスターカラーやアクリルガッシュといった不透明なデザイン用の絵具を
“普通にベタ塗りするだけ”…であれば、ケント紙を使う方が断然オススメです。
『コミック』の作業に、画用紙はふさわしくないでしょう。
そういう場合は最初からケント紙をお選びください。
また、『画用紙は色がまっ白じゃないから使いづらいなぁ』って
普段から感じられてる先生も、
ぜひケント紙の方をお選びください。
おそらく、
紙のチョイスが授業内容と合ってないんだと思います。
逆に、ケント紙やケントボードを使って…
スケッチや透明水彩絵具を使った授業をやっている先生がもしもいらっしゃったなら、
それも完全な間違いです。
画用紙、あるいは画用紙貼りのイラストボードをお試しください。
まったくふさわしくありません。
このように、ケント紙と画用紙は、一部ダブる部分もありますが…
明らかに用途が違います。
『デザイン用』ではなく、『絵画用』ですから…。
白過ぎる画用紙を嫌う理由
なぜ3ダースは白過ぎる画用紙を嫌うのでしょうか?
それは…白過ぎる画用紙には、透明水彩絵具の発色が良くない紙が多い…
と感じるから。
実際、『水彩紙』と呼ばれる… なぜまっ白な画用紙は透明水彩絵具の発色が良くないのでしょうか? ちょっと調べてみましょう。 紙の、主な原材料はパルプです。 よく画用紙などの説明に『木材パルプ100%』って書いてあったりします。 これは“木材パルプ以外の原材料は一切使っていません”… 紙には“パルプ以外の原材料”もガッツリ入っております。
木材パルプ100%って書いてあるものは、 もっと分かりやすく言うと、
ちなみに、古紙パルプ以外の“非木材パルプ”ってのは… ラグパルプ=衣類のボロから採った繊維
古紙パルプ以外の非木材パルプっていうのは、 最近は環境の事を考えて古紙パルプもいろいろと使われていますが、 木材を刻んで約3㎝角・5㎜厚くらいのチップに加工し、 パルプの正体はセルロースと呼ばれる繊維。 よく、セルロースの繊維をなんらかの接着剤的なものを
繊維同士は複雑に絡み合い、 水素結合は水分子に触れると結合が緩みますが、 紙の原材料はパルプだけではありません。
あと、前回の補足編でお話しましたが、 一般のヒトは、 填料とは…繊維と繊維の隙間を埋める、微粒子。 印刷用の紙だと填料の配合率もグンと高くなり、
コーティングされてはいませんが、ケント紙の表面って、 ケント紙は紙の表面に圧力をかけて平滑にしているので、 一方、画用紙や上質紙などにマスキングテープを貼ると、 本来の用途は車輌塗装用。後に建築外装用・建築内装用などが作られ、 ここまで見ただけでは、 おそらく残された可能性は、『蛍光染料』だと思います。 蛍光染料って言うと、ちょっと分かりにくいかもしれませんね。 これは、我々の目には見えません。
そもそも紫外線って、我々には見えませんし感じられません。 つまり、見えない波長の電磁波を…見える“光”に変えちゃうんです。
だから…たとえば昼間、
“光”って、様々な色の光が集まれば集まるほど、白くなるし、 しかし、人間が感じられない紫外線がいくら紙に当たっていても、 でも、その紫外線を可視光線に変換させて跳ね返したのなら、
この蛍光増白剤、様々な紙に塗ってあります。
以前、ある学校で って頼まれたことがあります。
紙ってパルプを漂白したものを原材料にするんですが、
それが過剰だと青白く見えるんです。 そして蛍光増白剤。これ、紫外線領域の電磁波を、 なので、まっ白な画用紙や青白いケント紙なんかは、
蛍光増白剤が透明水彩絵具の発色に与える良くない影響に関しての詳しいデータは、
ケント紙にも、透明水彩絵具で着彩すると…
いかがでしょうか? 画用紙とケント紙、一部はダブる部分もありますが、 適する絵具も異なります。 ちなみに、ウチでオススメしている画用紙は『シリウス』です。
【第11回終わり】
というかアイボリー系のナチュラルな色の画用紙の方が、
はるかに透明水彩絵具の発色が良いと思うからです。
本格的な水彩専用の紙は、
まっ白のものよりアイボリー系の色の紙の方がよく選ばれてますし、
透明水彩絵具の発色も良い…
と言われています。
紙の原材料とか製法の中に隠れた原因がありそうですね。木材パルプとは
って意味じゃないんですよ
あしからず…。
原材料の中のメインを占める“パルプ部分のすべて”…
が木材パルプってだけの意味。
“木材以外のパルプ(非木材パルプ)は混入させていないですよ”
って意味です。
『この紙には古紙再生パルプは混ぜていません』
って宣言してるってこと。
でもこれは、別に威張れるほどの意味は持ってません。
当たり前なことなんです。
コットンリンターパルプ=綿花繊維
リネンパルプ=亜麻繊維
バガスパルプ=サトウキビ繊維
藁パルプ
竹パルプ
…などなど。
通常の紙にはほっとんど使われない…特殊なパルプのことです。
(水彩紙などにはコットンパルプも使われることがあります)
古紙パルプには…
画用紙やケント紙には本来入って来てほしくない
“夾雑物(きょうざつぶつ)”がたくさん含まれるため、
これを完全に除去し切れないのなら、
古紙パルプは使わない方が望ましいんです。
(古紙パルプを使って画用紙を作ってるメーカーもありますが、
そういう夾雑物が入りまくりの紙は3ダースはオススメしません)
で作られたパルプが圧倒的に主流のようです。
強いアルカリ性の薬液の中で180℃で2時間以上煮て木材を煮溶かし、
パルプを取り出すんです。
植物の細胞壁の主成分ですね。
人間の消化酵素では消化出来ませんが、
ヤギとかはセルロース分解酵素を持っています。
でも、ヤギに紙は食べさせないでください。
紙にはパルプ以外の成分もアレコレ入ってますからね。
使ってくっつけ合わせて紙にしている…
って思ってる人もいらっしゃるようですが、
繊維と繊維をくっつける用途では接着剤は使いません。
お互いに“水素結合”でくっつき合っているんす。
一つの水素結合自体はとても弱い結合なのですが、
絡み合う繊維の分子同士が…
至るところで他の繊維の分子と水素結合しているんです。
それが何層にも何層にも重なっていって1枚のシート状になっているのです。
ですので、結合された繊維が簡単にほぐれることはありません。
乾燥すればまたしっかり結合し直します。
にじみ止めの薬品も入ります。
当然、画用紙やケント紙の原材料の中にも…
普通の紙と同様ににじみ止めの薬品は配合されています。
『填料(てんりょう)』というモノも、ほぼ確実に原材料に入ってきます。
(A模造には入ってませんでした)
パルプ以外の原材料が存在するってことを理解出来ないかもしれませんが、
ほとんどの紙には当たり前に填料が入っています。
クレイ(粘土)やカオリン(白土・白陶土)、
タルク(滑石の粉末)、炭酸カルシウム(石灰石の粉末)などが使われます。
填料の役割は、繊維の隙間を埋めることにより…
表面の平滑性を上げたり、白色度を上げて…
裏が透けるのを防いだりする事。
ただ、薄い紙だけでなく、
厚い紙にもほぼ必ず填料は入れられていますから、
もっと別な役割が有るのかもしれません。
普通の紙には重量比で5~15%の填料が入れられるそうです。
さらに仕上げに紙の表裏両面に“白系の塗料”
などを塗られる紙もけっこうあります。コート紙やアートポスト紙って呼ばれる紙がそれです。
こういう紙を『塗工紙(とこうし)』と呼びます。
コーティングされてツヤツヤです。
塗工紙はチラシやパンフレット、ポスターなどの印刷に使われます。
また、塗工紙には艶消しのタイプもあります。
あとノートの紙などは『非塗工紙(ひとこうし)』と呼ばれ、
紙の表面に“白系塗料”でのコーティングはされていません。
硬くてしっかりしてますよね。
あのような表面硬度になるのです。消しゴムをかけても繊維が剥けて来ませんし、
マスキングテープを貼っても剥がすときに紙の剥けのトラブルは少ないでしょう?
(ゼロではありませんので、マスキングの際はケント紙であっても気を付けてください)
剥がすときにけっこう紙が剥けるトラブルが発生します。
ですので、画用紙にマスキングテープは使わないようにしたいものです。
マスキングテープって…本来は紙に使うものじゃないですからね…
用途によって色分けされ…粘着力も変えてあります。
美術の授業で使われる白っぽいマスキングテープはあくまでも
“一般用”であり、“紙専用”というワケではありません。
画用紙が剥けてしまってもメーカーは損害賠償してくれませんので、
紙にマスキングテープを使う際は自己責任でお願いします
透明水彩絵具の発色を阻害するものはみつかりませんでしたね。蛍光染料とは
別な呼び方は『蛍光増白剤』。
白さをアップさせる役目の“染料”ですね。
紙に塗ってあると、
大気中に散乱している紫外線をこの蛍光増白剤が受け止め、
跳ね返すんです。
たくさん降り注いでいようがいまいが、わかりません。
しかしこの蛍光増白剤は紫外線を可視光線に変えて跳ね返すんです。
太陽光のある程度届く室内や蛍光灯の光の下だと、
蛍光増白剤が塗られている紙は…より白く、明るく見えるんです。
明るく見えるんです。
人間の目には白くも明るくも感じられません。
紙の表面に光が余計に当たっているのと同じ状態になって、
白く明るく見えるんです。
ケント紙にも塗られているのがありそうですね。
検定で使われる用紙と同じものを見つけてほしい』
紙問屋さんに依頼して探してもらいました。
さすが紙問屋さん、まったく同じものをみつけてくれました
たしか『北雪ケント』っていう紙だった気がします。もう25年くらい前。
ケント紙なんだけど、青白いの。妙に。
パルプを完全に白くするのは難しいんです。
ほんの少し黄色みが残るんですね。
それを打ち消すために補色の青い色素(顔料だったり染料だったり)
を原材料に入れたりもします。
紙としてはちょっと不自然な色なんですけどね…。
可視光線の青あたりの光に変換するんですよ。
これらを巧みに使いこなして“紙の色”は作られます。
こういう技術を駆使して作っていると見るべき。
余計な色素や染料を使わずに作っていると考えられます。
残念ながら3ダースは持っていませんが、
絵具の発色があきらかに悪くなるという原因はこのあたりに潜んでいるのではないか…
と考えるのが自然でしょう。
思ったより色が沈むものがあります。
ただ、ケント紙には不透明なデザイン用絵具を使うのがセオリーですから、
3ダースは問題ないと考えます。まとめ
用途で見るとだいたい棲み分けされているようですね。
かといって、絵画用の絵具とデザイン用の絵具の両方を生徒さんに持たせる訳にもいかないでしょうから、
画用紙にスケッチなどをする際はデザイン用の不透明な絵具を薄め…
水彩絵具風に使うなどの工夫は必要かもしれません。
表と裏の凹凸の仕上げが同じようにされていて、
表裏区別なく使えます。
再生パルプはもちろん不使用で、
木材パルプ100%です。
水彩紙を作る技術を駆使して作られた水彩紙風の画用紙で、
アイボリー系の色のナチュラルな画用紙です。
中性紙仕様で作られています。
もちろん、蛍光増白剤は不使用です。