もう少し、紙のハナシ
紙の “役割” について、少しお話させていただきます。
紙の役割、いくつご存じですか?
ではまず、主要な役割を3つご紹介。
英語で書くと『write』『wrap』『wipe』と、偶然なのか3つとも頭文字が “W” ですね。
なんて声が聞こえて来そうですね。
紙の3原則『書く』
いや、この『役割』でいうところの “書く” は、“印刷するという行為” を含むんです。
だって、もともとは人間が書いていたことを “印刷” という行為で代替しているだけですから…。
書く、描く、印刷する。
記録する、保存する。
広く知らせる、秘密をしまい込み…管理する。
表現する、発表する、伝達する。
これらがすべて『書く』という…紙の役割です。
次は…『包む』
『あ、それは包装紙のコトでしょ?』…と思うかもしれませんが、デパートなどで商品をキレイにくるんでくれる “包装紙” は、この『包む』の…ほんのほんのほんの一部です。
“包む” には様々な『商品パッケージ』も含まれます。
コンビニやスーパーなどに並ぶ…ほとんどの商品は、紙かプラ (ポリエチレン・ポリプロピレンなど) で “包まれて” いますよね?
よく見ていただければ紙製のパッケージはとても多いと思います。
『ポッキー』も『きのこの山』も『おっとっと』も、ボール紙の箱に入っています。
紙の容器に入った『アイスクリーム爽』も、紙コップに蓋をした『じゃがりこ』も、紙のパッケージです。
牛乳パックはじめ…様々な飲料も、紙で包まれています。
今はあまり見かけなくなりましたが…紙製のでっかい米袋 (30㎏入り) も、まだ存在しますよね。
箱ティッシュも紙箱に入ってます。
包む、容れる。
保管する、収納する、移動する、運搬する。
商品棚で、消費者に買ってもらえるようにアピールする。
中身を隠す。
保護する、守る。
これらがみな『包む』という役割です。
『紙皿』や『紙コップ』も食品や飲料を容れるためのもの。
郵便や運送に使われる『封筒』や『段ボール箱』も “包む” 役割を持った紙です。
このように、主に…普通の紙よりも厚めの “ボール紙” や “段ボール” といった『板紙 (いたがみ) 』の活躍する場が…この『包む』ですね。
最後に『拭く』
“汚れや液体を拭き取る” とか “吸い取る” 。これも大事な紙の役割です。
この役割は…今では『衛生用紙』という紙が担っています。
衛生用紙とは、ティッシュやトイレットペーパーやキッチンペーパーのこと。毎日使いますよね。
あと、厳密に言うと紙製ではありませんがウェットティッシュなども…もとは紙から派生した商品です。
掃除用の紙雑巾 (古くはキンチョーサッサ、最近だとクイックルワイパー) なども、紙を用いて “拭く” という作業をしていたからこそ生まれた商品。
また、液体を吸い取るという役目から “吸い取り紙” も、拭くという役割に入ります。吸い取り紙は版画の作業でも使いますよね。
この3つの役割の他にも、最近は忘れられた存在のようになっている生活に密着していた紙がありましたね。ちょっと思い出してみましょう。
3つの役割の他にある忘れられた存在
『和傘』『障子や襖 (ふすま) 』『壁紙』『提灯 (ちょうちん) や行灯 (あんどん) 』。
これらも紙で作られていました。
和傘を普段に使う人はもはや皆無でしょう。和紙に柿渋液 (かきしぶえき) や油を塗って耐水性にして使っていました。
障子や襖は一応 “現役選手” ですが、だいぶ需要が減ったようです。昔ながらの紙製の襖は絶滅寸前ですし、障子紙も…樹脂製の障子というものが普及しつつあります。
壁紙も、昔は名前の通り『紙製』でした。今ではほぼすべての壁紙は樹脂製ですよね。
提灯をお盆の時期に使う風習は残っていますが、室内用の明かりである行灯を使ってる家庭は無いでしょう。
このように…一部使われなくなった紙製品もありますが、今でも紙には様々な役割が与えられ、生活に密着しているものなのです。
『書く』『包む』『拭く』の3つの役割以外にも、まだまだ役割が有りそうですね。
『敷く』『乗せる』『切る』『飛ばす』『かぶせる』『鳴らす』…あともう1つ何だっけ?
今挙げた役割を詳しく見てみたら思い出せるかも…。
“敷く” は、よく地面に新聞紙とかを敷いてその上に腰をおろしたりしますよね。
“乗せる” は、大事なものを置く時に…ちょっと特別な紙の上に置きますよね? 鏡餅とか、紙の上に乗せるでしょ?
“切る” は、紙を使った工作。
七夕飾りの “紙の鎖” とか、しめ縄に付ける紙垂 (しで・かみしで) なども紙を切って作りますよね?
ポップアップカードや飛び出す絵本なんかも、手づくりすると楽しいですよね?
“飛ばす” は、紙飛行機。
正方形の紙や長方形の紙を折って作ります。
誰でも飛ばした経験ありますよね?
“かぶせる” は、新聞紙を折って作る兜。
男の子が産まれて最初の端午の節句にお爺ちゃんとかがやって来て、やたらと新聞紙で兜を作って子供にかぶせたがりますよね。
“鳴らす” は、新聞紙を折って作る『紙鉄砲』。
(ご存知ない方は検索して調べてみてください。新聞紙の兜同様、昭和の馬鹿馬鹿しい遊びです。平成生まれの人の半数以上はご存知ないと思います)
もう一つの役割は『折る』です!。
紙飛行機も兜も紙鉄砲も…折らなければ作れません。
『折る』の解説
『折る』!
木や金属や硬質プラスチックには絶対出来ない作業!
紙だからこそ、折れるんです!
『折るというただそれだけの行為が紙に命を吹き込む。やがて紙はみずからの力で立体に立ち上がる』
※NHKドラマ『オリガミの魔女と博士の四角い時間』より
日本発祥とされている折り紙ですが、今や世界中に愛好者がいらっしゃいます。
オリジナルの作品を生み出す『作家』さんも、世界中にいるんです。
今や『ORIGAMI』は、世界で通じる言葉です。
『折り鶴』くらいは折れますよね?
でも…上手に、ものすごくキレイに折り鶴を折ったことってありますか?
“自称” でもいいですから『完璧な折り鶴』を折ったことありますか?
なんて…雑な気持ちで折るんじゃなく、
今回のメルマガは趣向を変えて、上級者向けの折り鶴の折り方をみなさんにレクチャーします。
マスターなされば他のヒトよりはるかにキレイな折り鶴が折れるようになります。
ぜひ折り紙をご用意いただき、お休みの日などを利用して…キレイな折り鶴を折ってみてください。
大切な人に向けた折り鶴の折り方
まず、折り紙をご準備ください。
普通の『教育折り紙』みたいなやつで大丈夫です。
3ダースは同じ色でたくさん作ったりすることが多いので『単色折り紙』というのを使っています。
でも、100円ショップなどで売られているメーカーのモノは…正直言ってお薦めできません。
縦横の辺の長さに0.5~0.8㎜近いズレが有るものも存在しますから…
お薦めできるメーカーは『トーヨー』さんか『クラサワ (ブランド名は “KOMA” ) 』さんか『ショウワノート (ブランド名は “グリムホビー” ) 』さんあたりでしょうか。
まあ…この3社の商品であっても、寸法のほんの僅かなズレは有り得るかもしれませんが…
あと、ヘラのようなものがあると便利です。
3ダースは和菓子を食べるときに使う『くろもじ』という楊枝 (菓子切り楊枝) をナイフで削って形を整え、ヤスリで滑らかにした自家製のヘラを使ってます。
(添付画像の2枚目が3ダースが使っているヘラ)
みなさんは “つま楊枝” など、手近なものをお使いください。ただ、つま楊枝を使う時は、折り紙に刺して穴をあけてしまわぬよう、気を付けてください。
あと、定規も手元にあると良いでしょう。
ここで、折り紙を上手に折るコツをお伝えします。
『何度も確認すること』
この2つです。
折り紙は、スピードや数量で優劣を争う “競技” ではありません。
たったひとつの作品でも、心を込めて折れれば良いのです。
一番最初の工程で、紙を半分に折る場面があります。
慌ててはいけません。
8~9割の力で折り目を付けたら折り紙全体をひっくり返し、反対側から見て確認しましょう。
オモテ側からは下の紙の裏面の “白い線” が周りに見えていなくても、反対側から見たら白い線が少し見えていた…ってことはけっこう有ります。
反対側からも見て、またオモテ側にして見て、紙のズレが無いことが確認できたら10割の力で折り線をしっかり折る。
この地道な繰り返しが、折り紙をキレイに折るコツなのです。
3ダースが独自に考えた折り方
一応確認ですが…みなさんがご存知の『折り鶴の折り方』は、まず折り紙の裏面が上になるように机に置き…対角線で折ってオモテ面が外になる “直角二等辺三角形” を作り、さらにそれを半分に折って小さな直角二等辺三角形を作り、三角形の斜辺 (一番長い辺) に指を突っ込んで “袋” を広げて正方形にして潰す…という折り方だと思います。
その折り方を否定するつもりはありません。
なぜなら…この折り方では一度折った折り線を逆向きに折る部分が必ず出て来ますし、“2枚重ねて折る” という場面がちょくちょくあるため…折り線にブレが生じるんです。
2枚重ねて折れば、内側の紙はシャープな折り線を付けられるでしょうが、外側の紙は…紙1枚分以上の位置のズレが発生する上、折り線もシャープにはなりません。
ですので、折り鶴を…少し厚い紙で折る時や、極端に薄い紙で折る時、また金銀の折り紙で折る時などには…従来の折り方では、折り線が汚くなりがちなのです。
これからみなさんにレクチャーする折り方は3ダースが独自に考えた折り方です。
すべての折り線はブレることなく正しい位置におさまり、見えてはいけない白い部分 (裏面) も限り無くゼロになります。
また、普通なら翼の上面に出現する対角線の折り線が現れません。
これにより、見た目がとてもキレイに見えます。
そして、くちばしの下にだらしなく内側の紙がはみ出したりしません。
※添付画像をご覧ください。まったく折り線にブレが無く、白い裏面が見える所も…くちばしの下のはみ出しも有りません。ちなみに2枚目の画像は少し厚い “色画用紙” で折りました。
従来の折り方よりワンランク上の仕上がりを目指すなら、ぜひこの3ダース考案の折り方をマスターしていただきたいです。
なお、『折り鶴』は “伝承折り紙” と呼ばれるもので、考案者が特定されていなく…とてもとても古い時代からあるものです (折り鶴の折り方は室町時代後期には確立していたもよう) 。
こういう伝承折り紙の折り方を…折る人が勝手にアレンジした折り方は、たとえどんなに工夫が凝らしてあったとしても…その工夫した人の『オリジナル』とは呼びません。
また、この3ダースが考えた折り方はおそらく折り紙上級者と呼ばれるような人ならほとんどの人が経験的に体得しているはずです。
(だからおそらく、3ダースと同じような折り方をする人が全国に5万人くらい居るはず)
いよいよ折り方の公開です。
手順No.1
【1】
折り紙の裏面を上にして机に置きます。
手前の辺を奥の辺に合わせ、半分になるように谷折りをします。
慌てず、何度も確認しながら折ってください。
【2】
折ったら再び平らに広げます。
この、 “折ったら広げる” という動作は、丁寧に折る時の基本です。
折ったらすぐに広げる習慣を身に付けましょう。
【3】
折り紙を90°回転させます。
【4】
[1] と同じように手前の辺を奥の辺に合わせて、半分になるように谷折りをします。
なお、折り紙に書き込んである『太めな緑色の線』は、“これから折る線” です。ほとんどの場合は谷折りで折ります。
【5】
折ったら再び平らに広げます。
折り紙に書き込んである『青い線』は、すでに折られた谷折り状態の折り線。『赤い線』はすでに折られた山折り状態の折り線です。
当然ですが、山折り線の裏側は谷折り線です。
手順No.2
【6】
今度は折り紙のオモテ面を上にして、頂点が奥・手前・左・右に向くように置きます。
手前の頂点を、奥の頂点に合わせるように…折り紙の対角線で谷折りします (折り紙に描き込んである “緑の線” が少し細かったですね) 。
正方形でない粗悪な折り紙の場合は、ここでズレてしまいます。
【7】
直角二等辺三角形が出来ましたら、再び平らに広げます。
【8】
お疲れさまです。
三本の直線で折り紙を折り終わりました。
“もう1本の対角線” も折りたくなっちゃう気持ちはわかりますが、そこはぐっとこらえてください。
完璧な折り鶴を折りたいのなら、対角線を折るのは1本のみ…なのです。
【9】
折り紙の裏面の中央を窪ませるように…今まで折った折り線で再び折ってみると、傘を畳む時のように自動的に折り紙がすぼまります。
【10】
折り紙の4分の1大きさの正方形が出来ました。
これを折り鶴の第一の基本形…『正方基本形 (せいほうきほんけい) 』と呼びます。
いかがでしょうか?
今までの人生で最もキレイな “正方基本形” が作れたんじゃないですか?
手順No.3
【11】
せっかく作った正方基本形を開いて平らに広げ、折り紙のオモテ面が内側になるように [6] で折った対角線で再び折り、直角二等辺三角形の一番長い辺 (折り紙の対角線) が奥になるようにして机に置きます。
【12】
二枚重なった紙の…上の紙のフチが、折り紙の対角線の折り線に沿うように “緑色の線” で谷折りをするのですが、紙のフチを対角線の折り線のキワにぴったり重ねるのではなく、少し手前までにとどめて…裏面の白いラインがわずかに見えるように折ってほしいのです。
左の角の付近で0.5㎜くらい白い部分が見えるように…。
オモテ面の赤い山折り線付近で0.8㎜くらい…白い部分が見えるように、対角線の折り線のキワから隙間を空けてください。
【13】
なお、今折った折り目は紙の端まで伸ばしてはいけませんよ。 [12] の画像の “緑色の線” の分だけを折るのです。[13] の画像の指のあたりまでです。つまり、オモテ面に見える赤い山折り線と交差する所までだけを折るんです。
【14】
[12] の工程で折った部分の拡大図です。
対角線の折り線のキワに紙のフチをぴったり重ねるのではなく、ご覧のようにわずかに隙間を空けて白いラインを見せております。
(山折り線を示す赤い線を書いちゃったので白いラインがだいぶ細く見えますが、左の角の部分で約0.5㎜、オモテ面にある山折り線付近は約0.8㎜…キワから手前になっております。
折ったら広げるが基本です。
【15】
左右逆になるように裏返します。
手順No.4
【16】
[12] でやったのと同様に、二枚重なってる紙の…上の紙のフチを対角線の折り線に沿うように “緑色の線” で谷折りするのですが、対角線の折り線のキワにフチをぴったり重ねるのではなく、わずかに白いラインを見せるように折っていただきます。
右の角の部分で0.5㎜くらい、オモテ面の赤い山折り線付近で0.8㎜くらい、隙間を開けるように。
【17】
裏面を上にして完全に平らに広げます。[12] と [16] で折った頂点が奥になるように折り紙を置きます。
【18】
[12] と [16] で折った部分を再び折ります。
左にあるオモテ面と右にあるオモテ面との間に、白い隙間が見えますか?
頂点付近でオモテ面同士の紙の隙間が約1㎜、オモテ面の山折り線付近で1.5㎜くらいの隙間が空いていたらバッチリです。そして、そのど真ん中を『対角線の山折り線』が走っていたら完璧。
もしも隙間がちぐはぐだったなら、折り目を微調整し…今のうちに修正しておきましょう。
【19】
[16] の工程で、折ったあとで平らに広げた時の状態に戻ります。
次に折るのは左側。
つまり [12] とまったく同じ工程をしていただきます。
折ったら、折った部分を平らに戻し、左右逆になるように裏返します。
【20】
[16] とまったく同じ工程です。
手順No.5
【21】
[19] と [20] で折った頂点を奥になるように折り紙を置き、[19] と [20] で折った部分を再び折り、[18] でやった時と同様に『隙間チェック』をします。
隙間のバランスが悪い部分は今のうちに修正しましょう。
隙間チェックや修正が済んだら、平らに戻します。
【22】
ここが最初の難関です。
この工程では、ガイドの線は有りません。
作業としては [12] とほぼ同様なのですが、目安にする “線” が無いのです。
(添付画像には点線で目安を示しています)
でも心配いりません。“点” ならあります。
“角の頂点” と折り紙の “中心点” が、位置合わせの目安です。
(添付画像には○で示しています)
この2点をご活用いただければ問題なく折れるはず。
紙のフチを…目安の付近にたどり着くように、緑色の線で谷折りします。
慌てず、慎重に作業してください。
なお、[12] の工程とは異なり、角の頂点で “隙間” は作りません。ギリギリを狙ってください。
今折ろうとしている頂点は…最終的に折り鶴の翼の先端になる場所です。
ですので…もし隙間を空けて折ってしまったら、翼の下面にみっともない白い隙間ラインが出るはずですし、翼の先端も尖らないことになります。とてもカッコ悪いです。
ですので、頂点はギリギリを狙ってください。
逆に、折り紙の中心点付近は少し余裕をもってくださって大丈夫です。こちらは “攻め過ぎない” ように。
“中心点” が問題なく見えるくらいの隙間を作る気持ちで…。
ここは8割~9割くらいの力で、折り線を緩やかにしておきましょう。
折ったら平らに戻します。
【23】
折り紙を180°回転させます。
【24】
[22] と同様の工程です。頂点はギリギリを狙い、中心点は若干の隙間を作る気持ちで。
8割~9割くらいの力で折り、折ったら平らに戻します。
【25】
[22] と [24] で折った部分を奥になるように折り紙を置き、[18] 同様の隙間チェックをします。
今回は角の頂点には隙間を作らず、オモテ面の赤い山折り線付近で0.5~0.8㎜くらいの隙間が空いた状態が理想形です。バランスを見ながら位置を決め、[22] と [24] で緩やかに折っておいた折り線をしっかりと折って行きます。
もしも頂点部分で、両側のオモテ面がお互いに譲らず “相手の陣地に入り込んでいるような感じ” だと、この後の作業中に双方のフチが擦れ合い…紙が傷んでしまいます (オモテ面の色が剥げ落ちます) 。
ですから頂点付近では、両側のオモテ面がちょうど接するくらいの感じ…が理想。
頂点から25㎜くらい下に行ったあたりで徐々に両者が離れ、わずかに隙間が覗く…みたいな。
オモテ面の赤い山折り線付近で、両側のオモテ面同士の隙間が0.5~0.8㎜くらい空いている感じの位置にフチを合わせ、10割の力で[22] と [24] の折り線を確定させましょう。
手順No.6
【26】
確認のための工程です。
裏面を上にして広げてみました。
現在、これだけの折り線が存在するはずです。
お手元の折り紙と比べてみてください。
裏面から見て山折り線は対角線の1本のみ。
それ以外は谷折り線です。
角の頂点から斜めに出ている谷折り線にご注目ください。
他の角の頂点から出ている谷折り線と交差するポイントが、[1] と [4] で折った十文字の谷折り線と微妙にズレていることに気づかれることでしょう。
【27】
オモテ面を上にして広げ、机に置きます。
対角線の谷折り線が右奥から左手前になるようにしてください。
折り紙の中央部分の右側、緑色の線の部分を谷折りします。
この時、折り紙の角同士を重ねるのではなく、右奥の角の上部が1㎜くらいの幅で見えるように、右手前の角を重ねます。
【28】
[27] の工程の拡大図です。約1㎜ずらして折ることで、折り目の位置は元々の山折りの折り目からだいたい0.5㎜ズレる計算です。
まあ、厳密に測る必要はありません。だいたいの “イメージ” です。
ちなみに、折る部分は『緑色の線』の部分のみ。
折ったら平らに広げます。
【29】
反時計回りに90°回転します。
【30】
今度は折り紙中央部分の左側、緑色の線の部分を谷折りします。
この時、折り紙の角同士を重ねるのではなく、左奥の角の上部が1㎜くらいの幅で見えるように、左手前の角を重ねます。
手順No.7
【31】
[30] の工程の拡大図です。
折ったら平らに広げます。
【32】
反時計回りに90°回転し、 [27] ~ [31] の工程を繰り返します。
【33】
現状の確認です。
オモテ面から見ると、谷折り線が対角線の1本だけではなく…十文字の山折り線の外側部分に、ちょっとだけ位置がズレた谷折り線が出現しました。
これで次の折り方がスムーズに進むことでしょう。
【34】
折り紙の裏面の中央を窪ませるように…今まで折った折り線で再び折ってみましょう。
【35】
こういう形になると思います。
いかがでしょうか?
出来ましたか?
手順No.8
【36】
上の部分を片手で押さえながら、ピンク色のV字形のエリアを反対の手の指でこすり、折り目をしっかり付けておきます。
裏返して、裏側にも同じ作業をしましょう。
【37】
この形の下の部分は三層構造になっています。
一枚めくり上げ、その下の層をしっかり指で押さえておきます。
【38】
下の部分を指で押さえながら、めくり上げた一枚目の層を…反対の手で机の向こう側に向けて引っ張ります (力を入れ過ぎて破らないように) 。
上下に引っ張られることで、様々な部分に潜んでいた歪みや誤差が平均化されます。
【39】
[38] の工程の後、縦長の菱形の “短い方の対角線” とその両脇の角付近が机から少し浮き上がるかと思います。
片手の人差し指と親指で縦長の菱形の上下の端を押さえ、反対の手でピンク色のH字形のエリアをこすって折り目をしっかり付けましょう。
その後、裏返して [38] と [39] の工程を繰り返します。
その他の工程は、『折ったら平らに広げる・折ったら元に戻す』を愚直に実行してください。
【40】
キレイな縦長の菱形が出来ました。
この菱形を第二の基本形である『鶴の基本形』と呼びます。
今まで細かい数値と格闘しながら作った “隙間” が、見事に平均化され…ナチュラルな直線でつながったはずです。
手順No.9
【41】
時計回りに90°回転し、二股になっている方を左側にします。
菱形の左下の辺を…菱形の “長い方の対角線である…二股のキワ” に沿わせるように緑色の線で谷折りするのですが、左下の辺は “二股のキワ” の…少し手前に着地させていただきたいのです。
添付画像には、到達点の目安として点線が書いてあります。
頂点付近は “二股のキワ” と0.3㎜~0.5㎜程度の “隙間” を空けていただくと今後の作業がしやすいです。
折り紙中央付近では二股のキワより手前に1㎜~1.3㎜くらい離れた位置に…折り上げた “左下の辺のフチ” が来るように折ってください。
【42】
拡大図です。
この画像では、上にあるはずの “二股のもう片方” は…解説をする上で邪魔なためにどかして撮影してあります。みなさんはどかさずに作業をなさってください。
ご覧のように、頂点付近では “二股のキワ” と “折り上げた辺のフチ” をピッタリ合わせるのではなく、ほんの少し (0.3~0.5㎜などと書きましたが、あくまでもイメージです) 手前に着地させます。
何回写真に撮ってもわかりづらかったので、『二股のキワ』と『折り上げた辺のフチ』の間にヘラを差し込んでみました。
『キワ』から隙間を空けた… ほんの少し手前に『辺のフチ』を着地させたのがお分かりいただけるでしょうか?
ここも、いつも通り… 折ったら平らに戻します。
【43】
左右逆になるように裏返します。
伝承の折り方では、続けて二股のもう片方も折ってから裏返すのでしょうが、[41] で折った部分の “相方” は [44] で折る部分なのです。
折り紙を折るという作業は『下にある紙をめくり上げて、上の目標地点に着地させ、その中間の線で谷折りをする』…というのが最も自然な動作だと思っております。
ですので、上にある紙を下に持ってきて折る…などという “不自然な動作” が混ざらないよう、いちいち回転させたり裏返したりしていますが、これは正確に折るために必要な手順だとご理解ください。
【44】
[41] と同様の工程です。
角の頂点付近は隙間はごくわずか。0.3~0.5㎜程度のイメージで。
折り紙中央付近では、二股のキワから1㎜~1.3㎜くらい手前に離れた位置に右下の辺のフチが到達するように “緑色の線” で谷折りしてください。
[41] と [44] の工程を経てみて、いかがでしょうか?[12] と [16] の工程でせっかく作った “隙間の白いライン” がほとんど無くなっていることに気付かれたかと思います。
つまり、今回の [41] と [44] の工程で “辺のフチ” を折り上げることにより、一枚下に位置しているオモテ面の見える紙が滑るように押し出され…隙間があった部分を埋めてしまったのです。
もしも [12] と [16] の工程で、対角線の山折り線のキワに紙のフチをピッタリ合わせるように折っていたのなら、今回の工程で…一枚下の紙はさらに押し出され、 “相手側陣地” にまで入り込んでいたことでしょう。
真面目で几帳面な人はキワにフチをぴったり合わせるように折りがちです。しかしそれでは、折り進めるに従って…どこかに “無理” が生じてしまい、それ以降の工程に支障をきたしてしまうのです。
そのため、真面目な人の方が折り鶴を折ることに…苦手意識持ってしまっていたりするんです。
折り鶴は、シンプルで簡単そうに見えますが、折り目にゆとりを持たせてあげたり隙間を作ってあげたりしないと、キレイに完成させることができない折り紙なのです。
“先を読んであらかじめ折る位置を調整する” という考え方は、折り紙上級者に必要な能力です。
【45】
時計回りに90°回転し、[41] の工程で “折って戻してあった部分” をもう一度…向こう側に折ります。
(こちらから見たら、緑色の線で “山折り” です)
手順No.10
【46】
鶴の基本形である縦長の菱形から左下だけ細くなりました。
その左側の “ひだ” を、そぉ~っと右に開きます。
この時、画像の赤く色をつけたライン (完成後に翼の裏面になる部分の中央の合わせ目) で “折ってしまわないよう” に気を付けてください。
“ひだ” の下半分が… ある程度 (90° ~120° くらい) 開いてくれていればオッケーなのです。
( [47] の画像はしっかり開いた状態で糊付けして撮影しています。こんなにガバッと開く必要はありません。絶対に上の “赤く色をつけたライン” に折り目を付けないでください)
【47】
“左側のひだ” を緑色の線で谷折りします。
画像の緑色の線をよくご覧ください。斜めになっています。
緑色の線の右端 (折り紙の対角線の折り線と接する場所) は、下から覗いて…折り上げられるギリギリの所になります。
折り紙初心者の方は、この工程でガバッと折り上げることが出来ず、遠慮がちに下の方で折ったりするので…出来上がりがすごく変な形になりがちです。みなさんはしっかり、ガバッと折り上げましょう。
ひだのヘリ (ピンク色の三角で指しているライン) 同士をくっつけるように折ってください。
緑色の線以外の部分は折りません。
【48】
左側のひだの下半分を、緑色の線で折り上げた状態の画像。
【49】
[46] で右に広げた “ひだ” も、[47] と同様に緑色の線で谷折りします。
緑色の線は斜めです。
ピンク色の三角で指しているヘリ同士をくっつけるように折り上げましょう。
【50】
[46] で右に広げたひだの下半分を、緑色の線で折り上げた状態。
手順No.11
【51】
[47] [49] の両方の緑色の線で谷折りした状態です。
必然的に…これまでは山折りだった “対角線ライン” (この正面からの画像で見ていただくと “縦のライン” ) が反転して “谷折り” になるわけです。
新たに谷折りに折られる縦のラインの両側から迫り来る…オモテ面の色の紙同士をヘラでさばきながら、作られつつある “谷間” に押し込んで行くのです。
慌てず、左右のバランスを確認しながら、両側の紙の間を分け入って谷間の折り目を作りながら… 先端の頂点までしっかり折ってください。
【52】
手に持ってみました。
だだ、この画像は [51] の工程の…山折りを谷折りにキッチリ折り直す前の状態です。
次に、上から写真を撮ります。
【53】
上から見た画像です。
翼がキレイな弧を描いてますね。美しいです。
[46] の工程でひだを開く際、うっかり翼に折り目を付けてしまっては台無しです。
【54】
[41] と [44] の工程で…苦心して作った “わずかな隙間” が有りましたから、山折りから谷折りへの切り替えがスムーズに遂行できたことでしょう。
隙間を設けずにこの工程に突入すると、結構な難工事になるかと思います。
鶴の『尾』の完成です。
はい、みなさんが一生懸命折っていたのはしっぽの方だったのです。
ひょっとして『首』の方だと思ってたんじゃないですか?
予想の反対を行くのが3ダースの折り紙です。
【55】
ここが最大の難所です。
まず、時計回りに90°回転し… [41] とほぼ同じ作業をします。
しかし、頂点付近ではまったく “隙間” は設けません。
二股のキワを少し乗り越えるくらいの攻めの姿勢で折り上げます。
(詳しくは次の工程の画像とその次の工程の画像を先にご覧ください)
折り紙の中央付近では [41] とまったく同様に…1㎜~1.3㎜ほど “二股のキワ “より手前に、辺のフチが着地するようにします。
画像にある、到達点の目安の点線をご参考にしてください。
この折り鶴の『最大の難所』は画像に緑色の点線で描いてありますが、若干弧を描くような曲線で折る谷折りです。
なお、この点線による曲線はだいぶ誇張して描いてあります。実際にはこんなに曲げて折るのは不可能です。
とにかく、折る前に次の画像とその次の画像を先にご覧ください。
手順No.12
【56】
拡大図です。
上にわずかに “白いライン” が見えますが、これは折り紙の対角線の折り線部分です。
[12] と [16] の工程で、0.5㎜ほど隙間を作っていた部分。
尾の方の工程では、やはり頂点付近に0.3~0.5㎜の隙間を設けましたが、こちらは隙間を作りません。
(詳しくは次の画像をご覧ください)
【57】
これは裏面から撮った画像です。
白いラインより上に、向こう側から折り上げた辺のフチが黄色く出ています。
この、ほんのわずかの『はみ出し』を作って欲しいのです。
もう一度 [56] の画像をご覧ください。
以下、[56] の工程としての説明をいたします。
この点線は『誇張し過ぎ』です。ただ、実際の折り線を緑色で示したのでは、直線だか曲線だかわかりませんから、敢えて誇張させて描きました。
この “キワからはみ出る範囲 (横幅) ” は、頂点から右に25~30㎜あたりまでで抑えていただき、それより右側においての “辺のフチの着地位置” は二股のキワより下になり…折り紙中央付近ではキワから1㎜~1.3㎜、隙間を空けた位置に着地させてください。
折り終わったら… 折った部分を平らに戻し、左右逆になるように裏返し、そちらも同様に折ります。
頂点付近ではキワをほんの少し乗り越えるように。キワからはみ出る範囲 (横幅) は頂点から左に25~30㎜あたりまで。
それより左側においてはキワより下に着地し、折り紙中央付近では…キワから1㎜~1.3㎜の隙間を空けた位置に、辺のフチを着地させます。
この後、裏側の…つい先程 “戻した” 部分をもう一度折っておきます。
【58】
[18] や [25] の工程で行った『隙間チェック』を思い出してください。
同様のことをやってみましょう。
いかがでしょうか?
左側の紙が中央の白いラインをオーバーし、右の陣地に割り込んでいますね。
いいあんばいです。
【59】
左右の紙の上下を入れ換えてみました。
右も負けていませんね。
白いラインを越えて自己主張をしております。
では、比較のために尾を折った時の [51] の画像を見返してください。あの時は左も右も行儀よく、自己主張は控えめでしたから…ヘラで折り線をなぞるくらいで両者は谷間の所定の場所にキッチリと収まってくれました。
【60】
ちょっと話題がそれますが、伏線回収です。
隙間チェックをしている… もう少し手元の方に視線を動かしてみましょう。
これから『首』になる部分の中心線の “根元” に… ずいぶん広い隙間が出来ていて、その手前に結構な厚みの “紙の束” が見えますよね?
これは既に作った『尾』と、両側の翼の根元の後ろ半分が “束” になっているんです。
この束が間に挟まることを考えて、[41]・[44]・[56]・[57]の工程において…折り紙中央付近で1~1.3㎜の隙間を空けた位置にフチを折り上げていたんです。
なぜ片側で1㎜以上…両方合わせて3㎜近い隙間を作らねばならなかったか…がお分かりいただけましたか?
生真面目に、フチをキワにピッタリ合わせて折っていると、この『山谷交換作業』がスムーズに出来ないんですよ。
手順No.13
【61】
いよいよ、『くちばし』を作ります。
中央下部にある翼の裏面中央には折り目をつけないように注意してください。
画像で机はに置いた状態で、しかもひだをガバッと開いて写真に撮っていますが、実際には手に持った状態で…空中での作業になります。
この折る位置は、 首の…中心線の先端から25~30㎜あたりに緑色の山折り線が来るような感じで…。
【62】
[61] の緑色の線で折ってみました。
くちばしの角度は自由に決めてください。
先に [63] の画像を見ていただくと参考になるかもしれません。
【63】
[62] で折った時に、完成後の表情 (くちばしの角度) が確認出来ます。
赤く塗った部分は “向こう側” に行ってしまうわけですから、黄色い部分だけに着目すれば、完成図が見えることでしょう。
もう少しくちばしを下げようか…とか、上げようか…とか、判断が出来ると思います。
【64】
[61] で折った山折りと同じ角度になるように、右側の緑色の線で山折りしてくちばしの位置と角度の確定をします。
そして [46] ~ [50] の工程を見返していただき、尾を作った手順で首の根元の折り線を付けておきます。
【65】
次の [66] は、同時にいくつもの場所を折る作業になります。
ここでは、[66] で同時に折る折り線を、あらかじめ緑色の線で示しておきました。
手順No.14
【66】
では、同時に “首の根元” と “くちばし” と “首の中心線” を折ります。
画像は、首の中心線を『谷折り』にする側から見たものです。
尾の時と同様に、首の中心線はヘラを使って折ります。
くちばしの根元の “ノド” の付近は、左右の紙がお互いに相手の陣地に入り込むような感じですから、ヘラでいなしながら谷間を作ってください。
くちばしを指でつまんで形を整えたら【完成】です。
上手に折れましたか?
慣れると、くちばしの下から余計な紙のひだがはみ出すことが無くなることでしょう。
【67】
ご覧のように、白いライン (裏面が見えてしまう部分) が皆無!
くちばしの下にも、紙のひだがはみ出していません。
【68】
翼のオモテには、折り線が現れません。
【69】
真上から見ても完璧です。
【70】
よく、胴体に空気を吹き込んで背中を丸く仕上げる人が多いですが、3ダースは『三角背中』のままで仕上げるのが好きです。
1枚目は、鶴を下から見た画像です。
底面の、土台の部分を『X字形』になるように少し広げると、折り鶴が自立します。
3ダース作品集
↑これは実物
↑これは実物
【第19回終わり】